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日本企業の役員の海外勤務に係る給与等の二重課税では外税控除が適用できない!?

2010.03.10

外国税額控除は、その年又は事業年度の所得税額又は法人税額に(国外所得金額/全世界所得金額)の割合を乗じた金額が限度となります。従って、その年に分子=国外所得金額が発生しなければ、控除限度額は0となります。

個人の外国税額控除でしばしば問題となるのが、国外所得が平成21年中に発生したものの、外国所得税の納付が平成22年になるといったケース。

この場合、控除限度額の発生は平成21年、控除時期は平成22年と“なき別れ”になります。前年の控除限度枠の繰越を失念した一方で、平成22年中には国外所得が発生しなかったときは、外国税額控除のタイミングを逸失してしまうことになるのでくれぐれも要注意です。

また、役員の海外勤務に伴う二重課税でも留意が必要です。

例えば、日本企業の役員が、海外の子会社に出張し、現地で親会社の役員としての勤務を行い、それに係る給与が居住地国=日本と、勤務地である子会社所在地国の双方で課税されたとします(短期滞在者免税不適用)。

わが国の税法の定めでは、「内国法人の役員として国外で行う勤務の対価」は、すべて“日本国内源泉所得”に該当します(所得税法第161条八イかっこ書き)。従って、他に国外所得(分子)が生じていなかったり、繰り越された限度枠がないと、限度額が0となり、日本での所得税の納付額から海外勤務先で課税された外国所得税の納付額を差し引く=外国税額控除の適用余地はありません。結果的に、当該役員に係る日本と子会社所在地国での二重課税は、解消されないまま存置されることになります。

国税不服審判所による過去の裁決(裁決事例集未登録)でも、こうしたケースにつき「外国税額控除の適用を受けることはできない」とした判断が示されています。

※裁決要旨(平17.11.29金裁(所)平17-19)
「請求人の各年分の所得の内訳は、内国法人から支払いを受けた役員報酬及び配当であるところ、各年分における請求人の国外勤務の状況については、内国法人の役員としてA国に所在する同法人の子会社において業務に従事していたのであるから、請求人が内国法人から支払いを受けた各年分の役員報酬は、そのすべてが国内源泉所得に該当することになる。そうすると、請求人の各年分の所得には、国外所得総額はないので、外国税額控除の控除限度額は零円となる。したがって、A国税務当局によって、請求人に対して個人の総合所得税の課税がなされたとしても、請求人はこれに係る納付税額について各年分いずれにおいても外国税額控除の適用を受けることはできない」

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