国際税務の at random マメ用語

外国で納めた税金を日本で納める税金から差し引く──外国税額控除制度(2006.5/19)

海外で事業活動を行う日本企業や日本人個人(=日本居住者)は、居住地国(=住んでいる国)である日本では、「日本はもとより海外で得た所得も含めたすべての所得」=「全世界所得」について申告・納税義務を負います。

例えば、

①住んでいる国=居住地国である日本での所得100
②住んでいないがそこでモノを売って所得を得た国=所得源泉地国であるA国で得た所得50

──のケースでは、①100+②50=150全世界所得に対して日本で課税を受けるわけです。
※居住地国(=日本)における居住者(=日本人&日本企業)への「全世界所得課税」

同時に、②50については、その所得を得たA国においても、A国の税法の定めにより「A国の非居住者(=A国に住んでいない外国人・外国法人)の国内源泉所得(=A国内で稼いだ所得)」としての課税を受けます。
※所得源泉地国(=外国現地)における非居住者(=日本企業等)に対するその国の「国内源泉所得課税」

その結果、②50の部分について、居住地国(住んでいる国=日本)と源泉地国(モノを売って所得を得たA国)での課税が重複することになります。これが「国際的二重課税」です。

これを救済・排除する措置としてあるのが「外国税額控除制度」です。

【設例】

便宜上、法人課税の税率は<日本40%・A国30%>であると仮定します。

上記の例でいえば、

#1「日本企業甲社は、日本の所轄税務署に対して、(①100+②50)×40%= 60  の税額から、源泉地のA国で課税された②50×30%= 15  を差し引いて(控除して)、残り  45  を法人税として納税する」

わけです。

これは、各国がそれぞれの国の法律で手当しています。従って、逆パターン=「A国の企業が日本で得た所得につきA国と日本で課税されるケース」では、居住地国であるA国での納税に際し、A国税法に基づき、源泉地国である日本での税額を差し引くことになります。

即ち

#2「A国企業a社は、A国の所轄税務署に対して、(①100+②50)×30%= 45  の税額から、源泉地の日本で課税された②50×40%= 20  を差し引いて(控除して)、残り  25  を法人税として納税する」

ただし、この外国税額控除制度は、控除できる外国税額の範囲等について計算上の「シバリ」があり、“常に&直ちに”外国税額の“全額”を自国での納税額から控除できるものではありません。「万能の特効薬」ではないということに留意する必要があります。

ケース1:外国税額控除制度により二重課税が解消されている

  日本での納税額 45  
A国での納税額 15  
  60 ⇒全世界ベースでの納税額

ケース2:外国税額控除制度が適用されず二重課税が解消されない

  日本での納税額 60  
A国での納税額 15  
  75 ⇒全世界ベースでの納税額
KeyWord
  • 日本企業が海外で得た所得は、日本とその海外現地国の双方でダブル課税
  • 「外国税額控除制度」とは──日本での納税額から外国で課税された税額を差し引くことで、上記の二重課税の解消を図る制度。
  • ただし限界がある(制度のなりたちからして外国で納税した全額が差し引けるとは限らない!)
  • 外国税額控除制度は各国がそれぞれの国の税法で手当している(→自国の居住者が対象)。
  • 本国=居住地国における全世界所得課税に伴う納税時に適用される。

Ex1.日本企業が、A国で得た所得について日本とA国で二重課税を被った場合、「日本での納税時」に、A国課税額を差し引くことを日本の税務当局が認める(※日本の税法が日本の居住者に対して適用される)。

Ex2.A国企業が、日本で得た所得についてA国と日本で二重課税を被った場合、「A国での納税時」に、日本課税額を差し引くことをA国の税務当局が認める(※A国の税法がA国の居住者に対して適用される)。

【参考】
月刊『国際税務』連載(2006年5月号~)
「ビギナーのための外国税額控除・初級入門講座」(税理士法人トーマツ/高橋由佳氏担当)

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