国際税務の at random マメ用語

最近、新聞などでよくみかけるコトバ──「移転価格税制」(2006.11/1)

国税庁は、先に平成17事務年度における国税局調査部所管法人(資本金1億円以上)の課税事績を公表しました。
それによると、同年度中に「移転価格税制」の対象となった申告漏れは対前年度比45.1%増の119件、申告漏れ所得金額は同30.8%増の2,836億円にのぼっており、ともに過去最高だった前年度を大きく更新しています。

この「移転価格税制」というコトバ、最近、新聞・週刊誌上などで見かける機会が増えているようです。もともとはアメリカ生まれの税制で、英語でTransfer Pricing Taxationといいます。通称「TP(ティー・ピー)」

海外に関連会社(親会社・子会社等)を有する企業が、その関連会社との取引(売り上げ・仕入れ)に際して、通常、第三者間で行われるよりも低い値段で品物等を売ると、本来、収入されるべき売上金額が入らずに所得金額が減少します。あるいは通常よりも高い値段で品物等を仕入れたりたりすると、その分、原価が過大となり、やはり所得金額が減少します。

こうしたことを防止する観点から設けられたのが移転価格税制で、上記のケースでは、実際の売り上げ金額(通常よりも低い)・仕入れ金額(通常よりも高い)に関わらず、第三者間=「独立企業間で採用される価格」に引き直して課税所得を算定することになります。

下記リンクは財務省ホームページに掲載されている移転価格税制の図解です。
移転価格税制の仕組み(図解)

この例では、日本のA社が、本来、相互に独立した企業間では60で取引される品物を、海外の関連会社に、それよりも10安い50で販売することで、自らの課税所得を10低く抑えています。
これに対し、移転価格税制が適用され、独立企業間価格である60に取引金額が引きなおされて、A社の課税所得が再算定され、結果としてA社に対し10の増額課税処分が行われています。

ひとつ注意したいのは以下の点です。
移転価格税制適用前(A社の売り上げ50・関連会社の仕入れ50)──A社と関連会社を合わせたグループ全体の所得は合計50でした。「日本A社20:海外関連会社30」という配分です。
そして、日本側で移転価格税制が適用された後、日本A社の売り上げが60とされることで、海外関連会社の仕入れが60に増額され、その分所得が減額されて、所得配分は「日本A社30:海外関連会社20」となっています。

しかし実際にはそうは簡単にはいきません。

移転価格税制適用後、A社の売り上げは60となりますが、日本の税務の執行は海外には及ばないため、そのままでは、海外の関連会社の仕入れは50のままです。従って、A社と関連会社を合わせたグループ全体の所得は「日本A社30:海外関連会社30」=合計60となってしまいます。

これが移転価格税制でいうところの「国際的二重課税」です。

(つづく)

【参考】
『図説 移転価格税制 Ⅴisual TP』(税務研究会出版局)
伊藤雄二・萩谷 忠 共著
B5判・296頁/定価 3,570円(税込)

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